ステップファミリーが抱える問題とその支援について
2026年08月21日
私は「NPO法人M-STEP」を立ち上げ、10年間理事長として支援活動を行ってきました。
現在は代表を平田えりさんに引き継ぎ、私は理事として活動を見守っています。
立ち上げから15年以上が経過した現在、ひとり親家庭の増加に伴い、ひとり親の恋愛や再婚、そして「ステップファミリー(子連れ再婚家庭)」は間違いなく増えています。一方で、2度目・3度目の離婚を経験する方も少なくなく、子連れ再婚家庭の維持がいかに難しいかがうかがえます。
それにもかかわらず、ステップファミリーに関する公的な調査や支援がほとんど存在しない現状は、10年前と変わっていません。専門的に支援を行うNPO法人も、いまだにM-STEPのみという状況です。(任意団体はいくつかあるようですが…)
なぜ支援が進まないのか。それは世間一般に「再婚=第二の幸せな人生のスタート」というポジティブなイメージばかりが先行し、その裏にある特有の困難さに社会が気づいていないからです。
報道に見るステップファミリーと特有のストレス
これまでにも、ひとり親の交際相手や子連れ再婚家庭における児童虐待など、痛ましい事件が数多く報じられてきました。 事件が起きると、メディアでは一時的に「ステップファミリーの難しさ」が取り上げられます。しかし、それが具体的な制度改革や対策につながることはありませんでした。
「本当の親じゃないから虐待する」
決してそんな単純な話ではありません。
そこには、ステップファミリー特有の複雑な心理や構造的ストレスが存在します。
それぞれの立場が抱えるストレスは、当事者であっても実際に直面してみなければ分からないことばかりです。
事前の知識や心構え(学び)もないまま、複雑な家族関係を築こうとすること自体、最初から大きな無理を抱えています。
直面して初めて悩み、苦しむことになりますが、相談できる窓口もなく、周囲に理解してもらえないことで、さらに孤独とストレスを深めていってしまうのです。
「事前の学びがない」「相談できる窓口がない」「社会の理解がない」
これらが、ステップファミリーを孤立させる根本的な問題です。
ステップファミリーが抱える構造的な問題
家族の中には、「継親(継父・継母)」「実親」「継子」、そして再婚後に生まれる「セメントベビー」など、多様な立場が存在します。
初婚家庭のように夫婦1対1の関係からスタートするのとは異なり、複数の異なる立場が同時に一つの家族を形成しようとするため、常に強い緊張とストレスがかかります。
このストレスは立場ごとに異なるため、お互いに理解し合うことが難しくなりがちです。
「自分こそが家族の中で一番辛い」と思い詰めてしまうと、相手の立場を思いやる余裕がなくなり、家族関係の構築そのものが難しくなってしまいます。
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継親(継父・継母): もともと出来上がっている親子関係に自分が馴染めない疎外感から、継子を愛せない自分を責めたり、毛嫌いしてしまうストレス。
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実親: わが子と再婚相手との間に挟まれ、板挟みになりながら双方へ気を配り続けるストレス。
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子ども: これまで実親と築いてきた生活空間に入ってきた「他者」との距離感や温度差に戸惑い、どう接していいか分からないストレス。
ステップファミリーにいま必要な支援とは?
10年以上にわたり現場で支援を続けてきて痛感するのは、「事前の教育・情報提供が圧倒的に不足している」ということです。
多くのステップファミリーは「ひとり親家庭」から移行します。この10年で、ひとり親家庭への支援体制は随分と充実しました。離婚時には支援制度について案内を受け、ひとり親向けのセミナーなども開催されており、当事者になる前に情報を得るチャンスが整っています。
しかし、いざ再婚してステップファミリーになると、これまで受けていた児童扶養手当や相談窓口などの支援が一気に途切れてしまいます。「得られる支援を失うばかりで、新しい生活のための情報は何も入ってこない」というのが現状です。
今後、求められる支援は以下の通りです:
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子連れ再婚家庭に関する事前学習・情報提供の機会
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当事者同士が悩みを共有できるピアサポート(交流の場)
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ステップファミリー特有の力学を理解した専門の相談窓口の拡充
さらに言えば、再婚当初は児童扶養手当の停止や養育費の減額などが重なり、家族の人数が増えることで一時的に家計が困窮するケースも少なくありません。こうした移行期を支える行政支援の仕組みも必要です。
そして何より、これらを具現化するためには、まず国によるステップファミリーの実態調査が不可欠です。
