共同親権の現場から見えるリアル〜対立の渦中にいる親が守るべきことと解決へのヒント〜
2026年09月16日
私は一般社団法人おやこりんくサービスの代表として、長年、親子交流(面会交流)の支援や相談現場に携わってきました。
共同親権の導入が決まる前から、私がずっと危惧していたことがあります。
それは、「私たちの支援を使わなくても自分たちで話し合いができるご夫婦なら、理想的な共同養育は成り立つ。
でも、支援がなければ交流の場すら持てないほど葛藤の高いご夫婦にとっては、共同親権がかえって紛争を悪化させるだけではないか?ということでした。
そして案の定、法改正後のいま、現場からは悲痛な声が次々と寄せられています。
カウンセリングの場では「相手から共同親権を強く主張されて困り果てている」という声。
親子交流支援の現場でも「共同親権の主張がぶつかり合い、離婚協議が長期化して調停が不調になってしまった」というご相談がいくつかありました。
法制度がどうあれ、お互いへの不信感が強い段階で無理に白黒をつけようとすれば、親同士の争いは泥沼化し、その一番の被害者になるのは他ならぬ子どもです。
こんなとき、私が実践している選択理論心理学では「問題が解決しないときには現状維持」というアプローチを取ります。
相手を変えることはできません。
無駄に争いを激化させても子どもを傷つけるだけなら、無理に答えを出そうと焦らず、あえて「時に任せる」という選択肢も大切なのです。
とはいえ、離婚が成立するまでの間も、法律上「共同親権(共同監護)」の状態にあります。
感情が追いつかない時期だからこそ、親として最低限何を守るべきなのか、冷静に整理しておく必要があります。
共同親権で両親が守らなくてはならない基本ルール
共同親権の基本原則は、「子の最善の利益」を最優先にし、親同士の意地の張り合いに子どもを巻き込まないことです。具体的には以下のルールが求められます。
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1. 重要事項の事前協議と合意
進路(進学先・転校)、大きな医療行為(手術や長期治療)、引っ越し、高額な財産管理などは、独断ではなく双方で話し合って合意することが原則です。
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2. 日常の監護・緊急時の単独行使(過干渉の防止)
日々の食事、就寝時間、日常的な習い事、軽度の受診などは、実際に子どもを育てている監護親が単独で決められます。また、急病や災害などの緊急時には相手の承諾を待たずに単独で対応できます。
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3. 親子交流と情報共有への協力(妨害・悪口の禁止)
正当な理由なく交流を拒否したり、子どもの前で相手親の悪口を言って心理的に引き離す行為は厳禁です。学校行事や健康状態などの重要情報は共有する姿勢が必要です。
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4. 養育費の支払い義務
親権のあり方や感情の対立にかかわらず、子どもを養う「生活保持義務」は消えません。生活費の分担は親としての絶対的な責任です。
進路や医療で意見が対立したときの法的手続き
どうしても意見が対立して平行線をたどる場合、子どもの生活を止めてしまわないために以下の法的手続きが用意されています。
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ステップ1:当事者協議・ADR(民間調停)
直接の対話が難しいときは、感情的な衝突を避けるため弁護士や中立な民間調停を挟んで論点を整理します。
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ステップ2:家庭裁判所への調停申し立て
「親権行使に関する調停」を申し立て、調停委員を介して子どもの意向や養育環境に沿った落としどころを探ります。
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ステップ3:審判手続(裁判所による決定)
調停でもまとまらない場合、裁判官が「どちらか一方の親に単独決定権を与える」審判を下します。判断基準は親の正しさではなく「どちらが子どもの利益になるか」です。
※出願や手術が迫る緊急時には「審判前の保全処分(仮処分)」もあります。
なお、重要事項のたびに激しい対立が繰り返され、子どもの生活が脅かされ続ける場合は、共同親権の継続が難しいと判断され、最終的に「単独親権への変更」が命じられることもあります。
「いま決められないこと」を無理に決めなくていい
共同親権という言葉だけが先行し、「相手に主導権を握られるのではないか」「自分の意見が通らないのではないか」と恐怖や怒りを抱えてしまう親御さんは本当に多いです。
でも、親権は相手をコントロールするための武器ではありません。
話し合いがこじれてどうしようもないときは、まず一歩引いて「現状維持」を選んでみてください。
嵐が過ぎ去るのを待つように時間を置くことで、お互いの感情の熱が下がり、子どもにとって本当に必要な選択肢が自然と見えてくることもあります。
親の葛藤の渦中にいる子どもが、少しでも安心して笑顔でいられるように。
目の前のお子さんの安心を一番に考えながら、焦らず一歩ずつ進んでいきましょう。
