大切な家族が国際ロマンス詐欺・投資詐欺に?本人が信じ切ってしまう心理と家族ができる正しい対処法

大切な家族が国際ロマンス詐欺・投資詐欺に?本人が信じ切ってしまう心理と家族ができる正しい対処法

2026年08月27日

「親や配偶者が、SNSで知り合った外国人とやり取りしている」

「投資や荷物の受け取り名目で、大金を送金しようとしている」

「『詐欺だよ』と説得しても、本人が怒って全く聞き入れてくれない」

近年、SNSやマッチングアプリを悪用した国際ロマンス詐欺・SNS型投資詐欺が急増しています。
家族の被害に気づいて説得しようとしても、本人が頑なに否定し、かえって家族関係が悪化してしまうケースも後を絶ちません。

なぜ、客観的に見れば怪しい相手なのに信じ切ってしまうのでしょうか?

今回は、犯罪被害者心理とカウンセリングの視点から「騙されている本人の心の中で起きていること」と、「家族がとるべき具体的なステップ」を解説します。

 

1. なぜ気づけない?詐欺に囚われる4つの心理メカニズム

詐欺グループは単にお金を騙し取るだけでなく、心理誘導のプロでもあります。本人が洗脳状態のように見える背景には、以下の心理メカニズムが働いています。

① 「基本的欲求」の隙間を埋めるグルーミング(心理的調教)

選択理論心理学では、人には「愛・所属」「承認・力」「自由」「楽しみ」「生存」という基本的欲求があると考えます。詐欺師は、日常の孤独や承認欲求、将来への漠然とした不安を巧みに汲み取り、毎日何通もの甘い言葉や肯定的なメッセージでこれらを満たします。本人にとって相手はすでに「自分の心の支え(上質世界に入り込んだ存在)」になっているため、手放せなくなります。

② 確証バイアスと情報遮断

一度「この人は本物だ」「将来を約束した素晴らしい人だ」と信じ込むと、その信念を補強する都合の良い情報ばかりに目が向き、詐欺を疑わせる情報(不自然な日本語、口座名義の不一致など)を無意識にシャットアウトしてしまいます。

③ 認知的不協和の解消

「信頼している相手が詐欺師である」という事実は、被害者にとって強烈な精神的苦痛(認知的不協和)を生みます。その苦痛から逃れるため、「家族が誤解しているだけ」「相手は今トラブルに巻き込まれて可哀想な状況なんだ」と正当化し、現実を否認します。

④ サンクコスト効果(投資の罠)

すでに送金してしまった場合、「ここで相手を疑ったら、これまでの時間や大金がすべて無駄・騙されたことになる」という恐怖から、失ったものを取り戻そうと追加の送金要求にも応じてしまいます。

 

2. 逆効果になる「やってはいけないNG対応」

焦るあまり以下のような対応をしてしまうと、本人は心理的抵抗(心理的リアクタンス)を起こし、家族を「敵」、詐欺師を「唯一の味方」とみなして孤立を深めてしまいます。

  • 頭ごなしに「絶対に詐欺だ!」「騙されている!」と全否定・糾弾する

  • 「どうしてそんな簡単な嘘に気づかないの?」と本人のプライドを傷つける

  • 無理やりスマートフォンを取り上げたり、外部との連絡を力づくで断とうとする

孤立した被害者は、家族に隠れて消費者金融から借金をしたり、資産を換金して送金を進めてしまう危険があります。

 

3. 家族が今すぐ取るべき4つのステップ

ステップ1:否定せずに「事実」と「気持ち」を受け止める

まずは感情的に怒らず、「あなたを心配している」という姿勢を一貫して伝えます。

  • NGな言い方:「そんな男(女)、絶対に詐欺に決まってるでしょ!」

  • 効果的な言い方:「あなたがその人を大切に思っている気持ちは分かったよ。でも、急にお金の送金が必要になって、あなたがトラブルに巻き込まれて傷つかないかとても心配なんだ」

ステップ2:共有資産の保全と送金ブレーキ

本人が納得する前であっても、現実的な金銭防衛を静かに進めます。

  • 共有口座や定期預金、クレジットカードの限度額を一時的に見直す

  • 「10万円以上の送金・借入は家族で一度相談する」というルールを提案する

  • 送金履歴、やり取りの画面、相手の提示した写真・口座情報などをスクリーンショットで記録・保全する

ステップ3:客観的な第三者情報・公的窓口の活用

家族の言葉は感情的な対立を生みやすいため、第三者の視点を挟みます。

  • 画像検索で、相手のプロフィール写真がネット上の拾い画や著名人の悪用であることを一緒に確認する。※ただし画像加工されていると検索できません。

  • 警察相談専用電話(#9110)や消費者ホットライン(188)に「念のため確認してみよう」と促す

ステップ4:専門カウンセリングによるマインドの回復

詐欺被害は「心のトラウマ」を伴います。真実に気づいた瞬間、本人は激しい自己嫌悪や絶望、抑うつ状態に陥ることが多いため、専門知識を持った心理カウンセラーのサポートを受けることが再発防止と心の回復に不可欠です。

 

一人で抱え込まず、専門機関にご相談ください

家族だけで解決しようとすると、共倒れになったり家庭崩壊につながる恐れがあります。

NPO法人 CHARMS(チャームズ)では、国際ロマンス詐欺・SNS型投資詐欺の被害者支援およびご家族からのご相談を受け付けています。

  • 「これって詐欺なのか確かめたい」

  • 「家族をどう説得すればいいか分からない」

  • 「被害に遭った後の心のケアをしてほしい」

どのような段階でも構いません。まずはお気軽にご相談ください。