メディアからよく受ける質問「なぜ国際ロマンス詐欺に騙されるのか?」

メディアからよく受ける質問「なぜ国際ロマンス詐欺に騙されるのか?」

2026年08月26日

メディアの取材や講演会で、私が必ずと言っていいほど受ける質問があります。
それは「なぜ、あんな嘘に騙されてしまうのか?」「どんな人が被害に遭いやすいのか?」という疑問です。

世間では「欲深い人が引っかかる」「騙される側にも落ち度がある」と誤解されがちですが、10年間現場で当事者と向き合ってきた支援者として、その実態をお話しします。

Q1. なぜ騙されてしまうのか?

結論から言えば、「恋愛話」ではなく「緻密に設計された心理操作(マインドコントロール)」だからです。

詐欺師たちは、最初からお金の話をすることは絶対にありません。

  • 徹底的な共感と好意:四六時中メッセージを送り、「世界であなただけが理解者だ」と承認欲求を満たします。頻繁にメッセージで繋がることで会っていなくてもいつも一緒にいる感覚にさせられます。

  • 強固な信頼関係の構築:数週間〜数ヶ月かけて「この人は絶対に裏切らない」と確信させます。

  • 「助けたい」という善意の悪用:詐欺師から直接要求するのではなく、「荷物が税関で止められて困っている」「2人の将来のために投資をしよう」とストーリーを作り、被害者側から「私が助けなきゃ」と自発的に振り込ませる罠を仕掛けます。

相手を信じ切った「心理的密室」を作られてしまうため、客観的な判断力が麻痺してしまうのです。

Q2. どんな人が被害に遭いやすいのか?

被害者は年齢や性別・未婚や既婚に関係なくランダムです。
お金や時間がある年代層ということで高年齢の被害が目立ちますが、若年層も被害にあっています。
詐欺師はターゲットをジャンル分けしているわけではなく、数打ってあたった人をターゲットにしていきます。

「情報リテラシーが低い人」ではなく、「真面目で責任感が強く、心優しい人」が狙われます。

  1. 真面目で責任感が強い人:「一度約束したから」「困っている相手を見捨てられない」という誠実さが裏目に出ます。

  2. 人生の転機や孤独を抱えている人:離婚、死別、子どもの独立、将来の経済的不安など、心にふとした隙間があるタイミングで接触されます。

  3. 他者への貢献意欲が高い人:「愛する人を支えたい」という純粋な善意を悪用されます。

  4. 「自分は絶対騙されない」と思っている人:根拠のない自信がある人ほど、正常性バイアスが働き、周囲の忠告を受け入れにくくなります。

今、本当に求められる支援とは

詐欺だと気づいた瞬間、被害者は財産を失ったショックと同時に、「信じていた未来がすべて嘘だった」という深いトラウマと自己嫌悪に苛まれます。周囲からの「なぜ騙されたの?」という心無い言葉による二次被害も深刻です。

法的な手続きだけでなく、「心の回復(心理的ケア)」が不可欠です。 「あなたが悪かったのではない」と伝え、同じ経験をした仲間と語り合えるピアサポートや専門家のカウンセリングを通じて、自尊心を取り戻すことが何より大切です。

適切な支援があれば、人は必ず絶望から立ち直り、被害者から「サバイバー(乗り越えた人)」へと歩みを進めることができます。
一人で抱え込まず、どうか声を届けてください。